診療案内
Medical information月経不順・思春期の月経相談
「生理がなかなか来ない」「周期がバラバラで予定が立てられない」
月経にまつわる悩みは、女性にとって非常に身近なものです。しかし、身近だからこそ「体質だから仕方ない」と後回しにしてしまったりすることも少なくありません。
千歳烏山ウィメンズクリニックでは、今の不調を整えるだけでなく、数年後、数十年後のあなたが健やかに過ごせるよう、ライフプランに合わせたサポートを共に考えてまいります。
月経不順を放置することで考えられる将来のリスク
月経周期は、体調やストレス、環境の変化などで多少前後することは誰にでもあることです。一時的な乱れであれば大きな心配はいりませんが、「数ヶ月も月経が来ない」「極端に周期が長い」といった状態が続く場合は注意が必要です。
月経の乱れは単なる不便さの問題だけでなく、体の中のホルモンバランスが変化しているサインでもあります。適切な排卵や月経がない状態をそのままにしておくと、将来的に以下のような健康リスクにつながる可能性があります。
子宮体がん(子宮内膜がん)のリスク
月経には、子宮の内膜を剥がして新しく入れ替えるという「リセット」の役割があります。適切な排卵や月経が起こらず、古い内膜が残ったままの状態を放置することは、将来的に子宮体がんを招く一因となるため、定期的に月経(出血)を起こして「リセット」する必要があります。
骨の健康への影響
女性ホルモン(エストロゲン)は、骨を強く保つ大切な役割も担っています。特に思春期から20代にかけては、一生の骨密度を左右する重要な時期です。この時期にホルモン不足の状態が続くと、若いうちから骨がもろくなり、将来的に骨折しやすくなるリスク(骨粗しょう症)が高まってしまいます。
将来の妊娠への備え
月経不順の多くは、スムーズに排卵が行われにくい「排卵障害」という体質が関わっています。この体質自体を今すぐ根本的に「治す」ことは難しい場合が多いですが、それは決して「将来、妊娠できない」ということではありません。
妊娠を希望されるまでの期間は、定期的にお薬で月経を起こして子宮や骨の健康を維持することが治療の柱となります。将来、「妊娠したい」と思った時には、排卵を助けるお薬(排卵誘発剤)を使用することで、スムーズな妊娠をサポートすることが可能です。今のうちからご自身の体の傾向を知り、適切に月経を管理しておくことは、将来の選択肢を広げる大切な「プレコンセプションケア(妊娠前からの健康管理)」の一環となります。
正常な月経周期と受診の目安
自分の月経が「相談が必要なレベル」なのか、以下の基準を一つの目安にしてみてください。
正常な月経周期の範囲
一般的に、月経周期(月経が始まった日から次の月経が始まる前日まで)が 25日〜38日の間であれば正常範囲内とされています。毎回きっちり同じ日数でなくても、前後 1週間程度のズレであれば、過度に心配する必要はありません。
年齢別の受診ポイント
- 10代(思春期)
初めての生理から数年間は、脳や卵巣の機能が未熟なため、多くの方が周期の乱れを経験します。
下記に当てはまる場合は、一度状態を確認しておくことをおすすめします。
また、周期の乱れだけでなく、「生理痛がつらい」といった場合も、我慢せずにお気軽にご相談ください。- 3ヶ月以上生理が来ない場合
- 16歳を過ぎても初めての生理(初経)が来ない場合
- 月に2回以上生理が来るなど、月経が頻回にある場合(頻発月経)
- 18歳頃〜45歳前後
18歳頃からは、医学的に「性成熟期」と呼ばれる、ホルモンバランスが成熟し安定する時期に入ります。この時期に月経の乱れがある場合は、将来を見据えて早めに対応を考えたい時期です。
下記のような場合は、排卵障害や何らかの疾患が隠れている可能性があるため、お気軽にご相談ください。- 2ヶ月に1回しか来ないなど、周期が明らかに長い場合
- 月に2回以上生理が来るなど、月経が頻回にある場合(頻発月経)
- 突然、生理が止まった場合(3ヶ月以上あく場合は速やかに受診してください)
- 45歳以降
閉経に向けて周期が短くなったり、数ヶ月空いたりといった変化が見られる時期です。
こうした変化自体は更年期の自然な流れであることが多いですが、不規則な出血を「更年期のせい」と思い込んで、子宮の疾患(がんなど)のサインを見逃してしまうことがあります。ご自身で判断せず、一度診察を受けておくことが安心につながります。- 周期の変化に伴って、不正出血(生理以外の出血)がある場合
当院での検査
初めての受診でも安心して受けていただけるよう、代表的な検査項目をご紹介します。
- 超音波検査(エコー)
卵巣の状態や子宮内膜の厚さを確認します。
※思春期の方などは、お腹の上から検査(経腹エコー)を行うことも可能です。 - 血液検査(ホルモン検査)
脳からの指令(LH、FSH)や卵巣ホルモン(E2)、男性ホルモン(テストステロン)、さらに月経に影響を与える甲状腺ホルモン(TSH、fT3、fT4)などを詳しく調べます。 - 基礎体温の確認
記録がある場合は、診断の助けとなりますのでぜひお持ちください。
月経不順の主な原因
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
20代以降の月経不順で多く見られる原因の一つで、20人に1人程度の割合で見られる比較的ポピュラーな状態です。
- メカニズム: 卵巣の中に小さな卵胞がたくさんできて、なかなか一つが大きく育たず、排卵が遅れたり止まったりしやすい「体質」のようなものです。
- 将来への影響: 将来的に糖尿病や子宮体がんのリスクが高まる可能性があるため、長期的な視点での健康管理が大切です。
- 当院の方針: 定期的にお薬で月経を起こすなどのサポートを行いながら、患者様のライフステージに合わせた適切な管理を共に考えてまいります。
体重減少性無月経・運動性無月経
ダイエットによる急激な体重減少や、体力を著しく消耗する激しい運動習慣(部活動やアスリート活動など)は、月経不順や無月経の大きな原因となります。
- メカニズム: 脳はエネルギー不足や強いストレスを感じると、生命維持(脳や心臓を動かすこと)を最優先するため、生殖(妊娠の準備)に関わる指令を一時的に止めてしまいます。
- 将来への影響: 放置すると、骨密度の低下のリスクが非常に高くなります。特に骨が作られる重要な時期にホルモン不足が続くことは、数十年後の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
- 当院の方針: 体がエネルギー不足の状態にある場合、まずは無理のない範囲でエネルギーバランスを整えていくことが大切です。当院では、その方のライフスタイルを尊重しながら、体の回復に向けたアドバイスを行います。また、すぐに状態を戻すことが難しい場合や、骨への影響が懸念される場合は、必要に応じてホルモンを補う治療を行いながら、慎重に経過を見守ります。より専門的なサポートが必要な場合には、適切な医療機関と連携して対応いたします。
受験や大切な行事への備え
思春期の患者様では、受験や修学旅行などの大切な行事にあわせて、生理痛の軽減や、生理の日程をずらしたいというご相談をいただくことも多くあります。
特に受験などの重要な時期の場合、直前に初めてホルモン治療(低用量ピルや月経移動させるためのホルモン剤など)を開始すると、吐き気などの副作用が出て、かえって体調を崩してしまう心配があります。
大切な日に万全の体調で臨めるよう、3〜6ヶ月前など、お早めにご相談いただくことをおすすめしています。それぞれのスケジュールに合わせて、体に負担の少ない方法を一緒に考えていきましょう。
当院の治療方針:将来を見据えて
当院の月経不順治療は、単に「今、生理を起こすこと」だけが目的ではありません。
「今は将来のために整えておきたい」「思春期なので、まずは無理のない範囲で進めたい」など、今のご状況や将来のご希望は人それぞれです。
低用量ピルやその他のホルモン療法、漢方薬など、いくつかの選択肢の中から、ご自身の生活の中で無理なく続けていける方法を、一緒に選んでいきたいと考えています。
「これくらいのことで相談してもいいのかな」と迷わず、どうぞ安心してお話を聞かせてください。