診療案内

Medical information

性感染症(STD)

感染症(STD)は、特別な人だけがかかる病気ではなく、性経験がある方なら誰にでも起こりうる身近な疾患です。多くの性感染症は初期に自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行して将来の不妊原因となったり、お腹の赤ちゃんの健康に影響を及ぼしたりすることがあります。

千歳烏山ウィメンズクリニックでは、日本産科婦人科学会や日本性感染症学会のガイドラインに基づき、患者様のプライバシーに配慮しながら専門的な診療を行います。

性感染症を放置するリスク

性感染症の多くは、無症状のまま体内で炎症が進行します。

  • 将来の妊娠への影響:クラミジアや淋菌などを放置すると、炎症が子宮頸管から子宮内膜、卵管、そして骨盤内(腹腔内)へと広がります。これを「骨盤内炎症性疾患(PID)」と呼び、卵管の閉塞や周囲との癒着を引き起こすことで、将来の不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)の重大なリスクとなります。
  • パートナーとのピンポン感染 :パートナーが感染している場合、自分が治療をしても再び感染する「ピンポン感染」を繰り返します。お互いの健康を守るため、パートナーの方の検査・治療も不可欠です。
  • 母子感染のリスク:妊娠中に感染していると、絨毛膜羊膜炎などを引き起こして切迫流産・早産のリスクを高めたり、妊娠中や出産時に赤ちゃんへ感染(母子感染)して、新生児に重篤な障害を引き起こす可能性があります。

代表的な性感染症とその症状

性器クラミジア感染症

日本で最も感染者数が多い性感染症です。女性の約80%が無症状と言われていますが、放置すると子宮頸管から子宮内膜、卵管へと炎症が広がり、最終的に骨盤腹膜炎を引き起こします。感染から数週間〜数ヶ月と時間が経過した後に、急激な下腹部痛などの急性腹症として発症することがあります。これらは将来の卵管性不妊や異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因となります。わずかなおりものの変化がサインとなることもあります。

検査: 子宮頸管分泌物PCR
治療: 抗生物質の内服

淋菌感染症

クラミジアと同様に子宮頸管炎を起こしますが、より炎症が強く、感染力が非常に強いのが特徴です。おりものの増加や下腹部痛を伴うことがありますが、女性は症状が軽いケースも多く、検査での早期発見が重要です。

検査: 子宮頸管分泌物PCR
治療: 抗生物質の注射または点滴

性器ヘルペスウイルス感染症

単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染により、性器に強い痛み、水ぶくれ、潰瘍が生じます。初めての感染(初感染)では高熱を伴うほど重症化することがあります。ウイルスを完全に排除することは難しく、神経節に潜伏し、免疫力が低下した際に再発を繰り返す特徴があります。

検査: 視診による診断を基本としますが、必要に応じて病変部の拭い液による抗原検査を行います
治療: 抗ウイルス薬の内服・外用(1年に6回以上繰り返す再発ヘルペスには再発抑制療法もあります)

尖圭(せんけい)コンジローマ

ヒトパピローラウイルス(HPV)6・11型が原因で、性器や肛門周囲にカリフラワー状のイボができる病気です。痛みやかゆみは少ないですが、治療しても再発率が約25%と高く、根気強い経過観察が必要です。

検査: 視診
治療: 外用薬、切除、焼灼

梅毒

近年、20代女性を中心に国内で感染者が急増しています。感染後、数週間で性器にしこりができ、数ヶ月後には全身に発疹(バラ疹)が現れます。妊娠中に感染すると胎児に深刻な影響(先天梅毒)を及ぼすため、早期発見・早期治療が極めて重要です。

検査: 血液検査
治療: 抗生物質の内服または注射

膣トリコモナス症

トリコモナス原虫という微生物による感染です。強いかゆみ、悪臭を伴う泡状の黄色いおりものが特徴です。性交渉以外でも、下着、タオル、浴槽などを介して感染する場合があるため注意が必要です。

検査: 鏡検(顕微鏡検査)、膣分泌物培養
治療: 抗トリコモナス薬の内服

B型肝炎(HBV)

B型肝炎ウイルスによる感染症で、性交渉、血液、母子感染によって感染します。非常に感染力が強く、慢性化すると肝炎から肝硬変、肝がんへと進行するリスクがあります。成人の初感染では多くが急性肝炎として経過しますが、一部で劇症化する恐れもあります。妊娠中に感染していた場合は、母子感染予防が必要です。

検査: 血液検査
治療: 専門医療機関へご紹介いたします

HIV感染症(エイズ)

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって免疫力が低下する疾患です。初期は無症状、または風邪のような症状のみですが、数年かけて進行します。現在では、早期に発見し治療を継続することで、エイズの発症を抑え、感染前と変わらない日常生活を送ることが可能です。

検査: 血液検査
治療: 専門医療機関へご紹介いたします

C型肝炎(HCV)

主に血液を介して感染し、性交渉による感染率は比較的低いとされています。しかし、他の性感染症との合併リスクや、将来の慢性肝炎・肝がんのリスクを考慮し、検査での確認が推奨されます。現在は飲み薬による治療が進歩し、高い確率でウイルス排除が可能です。

検査: 血液検査
治療: 専門医療機関へご紹介いたします

当院での検査

検査の流れ

  1. 問診: 現在の症状や経過、パートナーの状況についてお伺いします。
  2. 診察・検査:
    • 視診、内診:ヘルペスやコンジローマは視診による診断を基本としますが、必要に応じて抗原検査を行います
    • 分泌物検査(おりもの検査): 内診台にて綿棒でおりものを採取します。
    • 血液検査
  3. 結果説明: 通常、1週間から10日程度で結果が出ます。結果に基づき、適切な方針を決定します。

当院の治療方針

検査で陽性と判定された場合は、ガイドラインに則った適切な治療を行います。

  • 薬物療法
    • 細菌感染(クラミジア、淋菌、梅毒など): 原因菌に有効な抗生物質を投与します。1回の服用で済むものから、一定期間の継続が必要なものまで最適に処方します。
    • ウイルス感染(ヘルペスなど): 抗ウイルス薬を処方し、症状の早期緩和と再発の抑制を目指します。
    • 持続感染(HIV、肝炎など): 専門的な管理が必要ですので、専門医療機関へご紹介いたします
  • 治癒の確認(再検査)の重要性:「症状が消えた=治った」とは限りません。特にクラミジアや淋菌は、症状がなくても菌が残っている場合、再び周囲へ感染を広げる恐れがあります。当院では治療終了後に検査を行い、治癒を確認するまでを治療のゴールとしています。
  • パートナーへの治療と再感染予防: 自分が治療を行っても、パートナーが感染したままであれば、再び感染してしまう「ピンポン感染」が起こります。お互いの健康を守るためには、二人で正しく向き合うことが大切です。

少しでも気になる症状がある方や、パートナーに感染が判明した方は、お一人で悩まずにご相談ください。当院では患者様の状況に合わせて、誠実に対応させていただきます。