診療案内

Medical information

卵巣の病気(卵巣嚢腫・子宮内膜症(チョコレート嚢胞))

卵巣は、左右に一つずつある親指大の臓器です。ここでは新しい命の元となる卵子が育まれ、女性ホルモンが分泌されています。しかし、卵巣は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気が進行して大きく腫れるまで自覚症状が出にくいのが特徴です。

「生理痛が年々ひどくなってきた」「検診で卵巣の腫れを指摘された」…そんな不安を抱えていませんか?千歳烏山ウィメンズクリニックでは、医学的根拠に基づいた適切な診断を行い、将来の妊娠(妊孕性)や健康まで見据えて、丁寧な診療を行っています。

卵巣の病気と向き合うために知っておきたいこと

「卵巣に何かがある」と告げられたとき、「がんではないか」「将来妊娠できるのか」といった不安を抱える方もいるかもしれません。卵巣嚢腫や子宮内膜症には以下のようなリスクがあります。

激痛を伴う緊急事態(茎捻転・破裂)

卵巣嚢腫が5〜6cmを超えると、重くなった卵巣が根元でくるりとねじれてしまう「茎捻転(けいねんてん)」のリスクが高まります。突然の激しい下腹部痛を伴い、緊急手術が必要になることもあるため、サイズの把握と適切な管理が不可欠です。

不妊症との関わり

子宮内膜症は、卵巣やその周囲に強い「癒着(組織同士がくっつくこと)」を引き起こします。これにより卵管がうまく働かなくなったり, 卵子の質に影響を及ぼしたりすることで、不妊症の原因となることがあります。

チョコレート嚢胞の「がん化」のリスク

子宮内膜症によってできる「チョコレート嚢胞」は、稀にですが、将来的に卵巣がんに移行することがあります。特に40歳以上の方や、サイズが10cmを超える場合はリスクを慎重に見極める必要があります。

代表的な卵巣の病気

1. 子宮内膜症・チョコレート嚢胞

本来は子宮の内側にあるはずの子宮内膜に似た組織が、卵巣などで増えてしまう病気です。卵巣の中にできたものは、生理のたびに出血した血液が卵巣内に溜まっていき、古くなった血液がチョコレートのように見えるため「チョコレート嚢胞」と呼ばれます。 

【主な症状】 強い生理痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛など

2. 卵巣嚢腫(良性腫瘍)

卵巣の中に液体や脂肪などが溜まり、袋状に腫れてしまう良性の腫瘍です。溜まっている中身によっていくつかのタイプに分かれます。

  • 漿液性(しょうえきせい)嚢腫: サラサラした水のような液体が溜まるもの。
  • 粘液性(ねんえきせい)嚢腫: ゼリーのような粘り気のある液体が溜まるもの。巨大化しやすいため注意が必要です。
  • 皮様(ひよう)嚢腫: 髪の毛、歯、脂肪などが溜まるもの。20〜30代の若い方に多く見られ、重みで卵巣がねじれる「茎捻転」を起こしやすいため注意が必要です。

3. 卵巣がん(悪性腫瘍)

卵巣に発生する悪性の腫瘍です。初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると腹水が溜まってお腹が張ったり、しこりとして触れたりすることがあります。良性の卵巣嚢腫との判別が非常に重要であり、超音波検査、MRI、腫瘍マーカーなどを組み合わせて慎重に診断を行います。卵巣がんが疑われる場合には、速やかに高次医療機関にご紹介します。

4. 機能性嚢胞(一時的な腫れ)

卵巣には、病気ではない「機能性嚢胞」と呼ばれる一時的な腫れがよく見られます。これは排卵などの周期に伴って発生するもので、多くの場合、数ヶ月以内に自然に消えてしまいます。一度の診察だけでは本当の卵巣腫瘍(病的な腫れ)との区別が難しいため、通常は2〜3ヶ月後(生理を数回挟んだ頃)に再度エコー検査を行い、腫れが消失しているかを確認することが一般的です。

当院での検査

当院では、患者様に負担のない範囲で、精度の高い診断を目指しています。

超音波(エコー)検査

 卵巣の状態を確認するために、最も重要で基本的な検査です。腫れの大きさや、内溶液の性状を観察します。

腫瘍マーカー(血液検査)

良性・悪性の推測や子宮内膜症の活動性を確認します。

精密検査(MRI検査)の連携

より詳しい画像診断が必要な場合にはMRI検査をご案内します。卵巣嚢腫の内部に貯留している液体成分を詳しく判別することで、具体的な嚢腫の種類を特定したり、造影剤を用いることで良性・悪性の判別の精度を高めることが可能です。MRIで得られる情報は、その後の治療方針を決定する上で非常に重要な情報となります。

当院での治療方針

医学的な必要性はもちろん、患者様のご希望やライフステージを尊重し、ご相談の上で共に方針を決定してまいります。

1.経過観察

サイズが小さく、悪性の疑いが低い場合は、数ヶ月ごとにエコー検査を行い、変化がないか慎重に見守ります。

2.薬物療法(ホルモン療法):子宮内膜症

薬物療法は、主に子宮内膜症(チョコレート嚢胞)が対象となる治療法です。漿液性嚢腫や皮様嚢腫といった他の卵巣腫瘍は、お薬で小さくすることが難しいため、定期的な経過観察や手術が検討されます。子宮内膜症の場合は、以下のようなお薬で病気の進行を抑えたり、症状を和らげたりすることが可能です。

  • 低用量ピル(OC/LEP): 排卵を抑え、生理痛の改善とともに、病気の進行を抑制します。
  • 黄体ホルモン療法(ディナゲストなど): 子宮内膜症の治療において非常に有効性が高く、長期間の管理に適しています。
  • GnRHアゴニスト・アンタゴニスト: 一時的に閉経状態を作り、病巣を小さくします。

3.手術療法

嚢腫が大きく捻転のリスクがある場合や、悪性の除外が困難な場合には、適切なタイミングでの手術検討が必要です。その際は、高度医療機関へスムーズにご紹介いたします。

卵巣の病気は、早期発見と適切な管理で、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。